DLNAはパナソニックやソニーといった大手家電メーカーやMicrosoftも参加している事もあり、徐々に認知度は高まっているようで既に利用されている方も多いと思います。DLNAの便利な所はそれぞれの機器をネットワークに接続しておくだけで、USBメモリやSDカードのような記憶媒体を使ってファイルを移すよりも容易に別機器でコンテンツを再生する事が出来ます。
DLNAの環境を構築するのに最もスマートなのは今の所、無線LANでそれぞれの機器を接続する方法だと思いますが、既に無線LANルータを導入されているなら家電機器を接続する為のイーサネットコンバータ(子機)や無線LANアダプタを追加するだけで動画コンテンツを配信する事が出来ます。
無線LANルータにそれぞれの機器を接続している場合、DLNAでコンテンツを配信するのは簡単です。例えばPS3のように無線LAN機能を備えDLNAの認証を受けている機器ならPC内にある動画や音楽、画像ファイルをPS3で再生する事が出来ます。但しPS3はDLNAのクライアント(データを受信する側)にはなりますが、サーバー(データを配信する側)機能は無い為、PSPという例外を除いてPS3内のコンテンツを他の機器に配信する事は出来ません。
又、PS3に限らずDLNAの認証を受けていてもクライアントとしてしか機能しない機器も多くあり、再生専用としてしか使えないので注意が必要です。
上でも書いた通りMicrosoftもDLNAに加盟している為、WindowsもDLNAクライアントとサーバー機能を備えていおり、Windows 7に付属するWindows Media Player 12(以下WMP12)で配信するPC内のファイルや許可する機器の管理を行う事が出来ます。又、XPユーザでもWindows Media Player 11やPS3 Media Serverをインストールして同様の事が出来ます。
WMP12でネットワークに接続している他の機器に動画等のコンテンツを配信するには、配信する機器に許可を与える必要があります。
最初に許可を与える機器の電源を入れておき、WMP12を起動して上部にある「ストリーム」から「その他のストリーミングオプション」を開きます。
「次の場所にあるデバイスを表示」を「ローカルネットワーク」から「すべてのネットワーク」に変えます。表示されたデバイスの中にある「禁止」となっているデバイスを「許可」に切り替える事でその機器にコンテンツの配信が許可されます。
「不明なデバイス」と複数表示された場合はそれをクリックしてMAC アドレスからどの機器かを判断する事が出来ます。これで許可を与えた機器にコンテンツを配信する準備が出来た訳ですが、機器によっては更に設定が必要です。
PS3の場合はXMBのメニューで「メディアサーバー検索」からネットワークに接続している機器を探してメニュー内に表示するようになります。
機器へのコンテンツの配信の許可設定後はどのファイルを配信するかをフォルダ単位で指定出来ます。仮に動画ファイルを配信したいならWMP12の左サイドにあるライブラリの「ビデオ」を右クリックして、「ビデオ ライブラリの管理」を選択。
ここで配信したいファイルが含まれるフォルダを「追加」ボタンで登録していきます。又、音楽ファイルや画像ファイルも同様の手順でライブラリに登録していき、WMP12のライブラリに登録されたファイルが許可を行った機器に配信されます。
さて、レコーダーに録画したデジタル放送の番組等はDLNAで容易に配信とはいきません。その理由として地上デジタル放送やBS/CSデジタル放送は著作権を保護するプログラムが仕込まれておりコピーに制限がある他、他の機器での再生にも制限があります。それを解決する方法としてDTCP-IPなる規格があり、DTCP-IPに対応する機器同士でコンテンツを外部ネットワークへの流出や不正コピーから保護したまま配信する事が出来ます。
レコーダーで録画したテレビ番組をPCに配信して観たいと思っても残念ながらWMP12はDTCP-IPに対応していない為、再生する事が出来ません。しかし最近では数は少ないもののDTCP-IPに対応するDLNAクライアントソフトが販売されており、DiXiM Digital TVやSoftDMAを使えばDLNAに対応するレコーダーに保存してある録画番組をPCで再生する事が出来ます。但しどちらも有料ソフトで、DTCP-IPに対応するフリーソフトは今の所存在しないようです。
そして左がDiXiM Digital TVを使ってPCで、録画機能付きテレビWoooの録画番組を再生しているスクリーンショットになります。コンテンツ保護の関係でスクリーンキャプチャ出来なかった為、PCモニタを直接デジカメで撮影した写真なのでぼやけていますが、実際にはブロックノイズが出る事も無く綺麗に再生出来ました。DTCP-IPはWindows 7でサポートする予定が途中で断念したという噂もあるので、是非次期OSのWindows 8では標準でサポートしてもらいたいものです。