一般的なオークションは出品者の商品に対して最も高額な値段を入札した入札者が落札する事が出来る仕組みになっているのは皆さんもご存知の筈。代表的なネットオークションサイトは国内においてはYahoo!オークションが最も有名で私も時折利用しています。
ペニーオークションの仕組みも基本的に最高額の入札者が商品を落札出来る仕組みは一緒なのですが、通常のオークションとは違い、入札には毎回手数料が掛かる仕組みになっています。
つまりペニーオークションとは入札する度に毎回一定の手数料が掛かるオークションシステムの事を指します。出品物は全て運営者が用意した新品の商品で、人気の家電製品やゲーム機、PC周辺機器が出品物の中心となっており1回の入札に掛かる手数料はオークションサイトによって差異がありますが、75円に設定してある所が最も多いようです。入札した際の商品に対する落札額はペニーオークションサイトや商品によって異なり、毎回1回の入札で1円から15円上昇するように固定され、入札する度に終了時間が15から20秒程延長されるようになっています。
このペニーオークションの危険な所は何万円相当の商品がたった何百円や何十円かで落札されているように見える所で、落札者が落札するまでに本当に使用した金額は詳細をしっかりと見なければ解らないようになっています。又、ペニーオークションで入札に使用する手数料はあらかじめポイントを先に購入しておく必要があり、落札出来なかった入札者の消費したポイントは使い捨てになり返ってきません。
ペニーオークションの仕組みの危険性をもう少し詳しく知ってもらう為に、解りやすい例を記載します。例えば入札手数料は1回につき70円、1円スタートで落札額の上昇額は1円という設定で、市場価格が1万円相当の商品をAとBの2人で競り合ったとします。
AとBが交互に入札するとしてAが199回入札、Bが200回入札して、最終的にはBが400円で落札します。
1万円相当の商品をたった400円で落札出来たら一見お得に見えますが、Bは落札する為に200回入札しているので70円×200回で14,000円の手数料を払っている事になります。商品を入手するには落札額で購入する必要があるので、1万円相当の商品を合計14,400円支払い購入する事になります。更に悲惨なのは落札出来なかったAで、Aは70円×199回で13,930円の入札手数料を支払い、何も手元に入ってくる物がありません。
もちろん入札者は常に損をするという仕組みではなく入札手数料も含め市場価格よりも大幅に安く商品を落札出来る可能性もあります。上の例と同じ条件でAが79回、Bが80回交互に入札してBが160円で商品を落札した場合、Bは70円×80回の手数料5,600円と落札額160円の合計5,760円で商品を入手出来ます。しかし商品を出品している運営者側からすれば市場価格より大幅に安く落札されてもAの70円×79回の入札手数料5,530円が入ってくるので、AとBの合計11,290円で1万円相当の商品を販売した事になり仕入れ値も考慮すると大きな利益になります。
つまり入札に参加しても落札出来なければ手数料を消費するだけで丸々手数料分を払い損になり、かと言って競り合っている者同士が譲らなければ両者共損をする事になります。上では解りやすいようにAとBの2人で競り合った例を挙げましたが、AとBが競り合っている所に後からきたCが途中から入札に参加する事も可能で、Aが79回、Bが80回交互に入札した所にCが1回入札してAとB共に諦めた場合、Cは70円×1回の入札手数料と161円の落札額の合計231円で商品を入手する事が出来ます。
だったら誰かが競り合っている所を見計らって途中参加すればいいじゃないかと誰もが思う訳ですが、考えている事は皆同じで途中参加したCの後にDもやってきて競り合いになりCとD両者が消耗しきった所にEがやってきてと続いていく事もあるので、実はどのタイミングで入札に参加しても落札額が市場価格より下回っている間は、後からやってきた入札者に商品を掠め取られるリスクが常に付いてまわります。
ペニーオークションには前述したようにテレビCMでもよく目にするDMMのような大手も参入していますが、今まで全く目にした事が無いような企業も多く参入しており、ペニーオークションという仕組み的に安全性に疑問のある企業も多数あります。
まずペニーオークションは出品されている商品が運営者側が用意した商品という特性上、サクラ(関係者が一般客を装ったヤラセ)を仕込む事が容易に出来ます。これに関してはYahoo!オークション等の一般的なオークションでも、出品者が別のアカウントを使い入札に参加して落札金額を吊り上げる事が出来るのですが、一般的オークションの場合は入札者が納得いかない金額まで上昇すれば入札を放棄する事が出来るので、サクラが必ずしも効果的だとは言えません。
しかしペニーオークションは落札額ではなく入札手数料で儲けを出す仕組み上、サクラを使って競り合う事で利益を上げる事が出来てしまいます。
これをシステムに組み込んでしまえば、運営者側が用意したアカウントに格安で商品を落札させ、一般入札者が参加してきた場合はとことん競り合わせる事が自動ででき、一般入札者は競り合っている相手が同じ一般入札者なのかサクラなのかを知る術がありません。
こうなると、高値で商品を掴まされたり落札出来なければ運営会社への不信感が募る一方で、DMMやゲオのような大手企業がペニーオークションに参入するメリットがあるのかは疑問です。但しDMMとゲオの2社が運営するペニーオークションは一部の商品を除き落札できずに消費したポイントの一定額を、通常購入代金から割り引く救済処置をとっています。
ここまで読まれた方の多くはペニーオークションに対して否定的な意見を持ったと思いますが、欲の皮が突っ張った私がペニーオークションの安全性を検証するべく、実際に参加してみました。数多く存在するペニーオークションの中でも私が選んだのは大手の安心感があるDMMポイントオークション。これぐらいの大手であればサクラのような不正はないだろうと見込んだのと、DMMでは初めてのポイントオークション参加の場合に無料で1000ポイントとそれ以外のサービスでもポイントを無料で貰う事ができ、クレジットカードの登録は必要ですが初回登録時に合計3600ポイントを無料で入手出来ます。
DMMポイントオークションでお試し用1000ポイントとは別に更に2600ポイント貰う方法は、成人向けコンテンツへのアクセスが必要となっているので、ここでは割愛させて頂きます。
ポイントはDMMでは1ポイント1円の計算で最小1000ポイントからクレジットカードを使い購入する事ができ、1回の入札で70ポイントを消費する仕組みになっていますが、私は無料ポイントが3600あるので1000ポイントのみ購入し、合計4600ポイントで参加してみました。
(注)12月より1回の入札が70ポイントから60ポイントに、割引購入に使える割引額がが50×入札回数から30×入札回数に変更されました。又、初期登録時に貰える無料ポイントは現在2400ポイントになっています。
自動入札可能なオークションの場合、予算が豊富な強者が多くとても自分の予算では競り勝てる気がしなかったので、私が狙ったのは手動入札限定になっていたプレイステーション・ポータブル。
最初から競り合いにいっても勝ち目がないので繰り返し入札している入札者が赤字ラインになる辺りを慎重に狙い入札に参加。予算が少ないのを悟られないよう、強気に入札を繰り返した結果、見事に落札出来てしまいました。
入札に使用した入札手数料は70円×32回の2,240円、落札価格が2,280円で合計4,520円でプレイステーション・ポータブルを落札できた訳ですが、入札手数料で消費したポイントは無料で貰ったポイント内なので実際には落札金額以外、使用していません。しかし調子に乗って再度別のオークションに参加してみた所、購入した1000ポイントも含めてあっさりと残りのポイントを消費してしまいました。
実際に落札出来た私自身は嬉しいのですが、競り合いに負けた側の立場になれば悲しい想いになります。私が入札に参加する前から入札を繰り返していた方は約14,000円相当のポイントを消費し、何も手に入れられませんでした。もし自分が本格的に資金を使い参加した場合は逆の立場になる事もありえる訳で、ペニーオークションはお得に落札出来た人の陰に犠牲者が存在する事で成り立つ仕組みである事を理解しておく必要があります。
ただ前述したようにDMMのペニーオークションには落札できずに消費したポイントを利用して商品を購入する事が出来る救済処置があります。今回私が参加したオークションは落札限定でしたが、DMMでの標準販売価格が7,984円のPlayStation3 torne等に無料で貰える体験用の3600ポイントを全て入札に注ぎ込むと51回入札する事ができ、落札に失敗しても1回分を50円として標準販売価格から割り引いて購入する事が出来るので、2,550円引きの5,434円で購入する事が出来ます。
初回登録時に貰える体験用のポイントを活用すれば落札に失敗しても、出品されている商品によっては市場価格よりも安い価格で商品を入手する事が出来るので、1回のみの参加に限定すればお得なお買い物が出来ます。しかしここで散々述べてきた通り、色々と問題のある仕組みなので賢明なフリーソフトナヴィ読者のみなさんは、決してペニーオークションに深入りしないようご注意下さい。